第7章 電線・ケーブル技術資料

電力ケーブル布設時の取扱いについて

6,600V以下の電力ケーブル布設にあたって、次にあげる事項を守っていただくようお願い致します。

1.許容張力

延線時には、コロなどを使用し、電線に無理な張力を加えないようにして下さい。延線工事の際の許容張力は、次表に示すとおりです。

延線用具 導体種類 許容張力(kg)
プーリングアイ 68.6MPa {7kgf/mm²}×(ケーブル線心数)×(導体断面積mm²)以下
アルミ 39.2MPa {4kgf/mm²}×(ケーブル線心数)×(導体断面積mm²)以下
ワイヤーネット
(ケーブルグリップ)
銅・アルミ ビニル及びポリエチレンの一括シース形の場合
10MPa {1.02kgf/mm²}×シース断面積mm²以下。
ただし導体の許容張力を超えない範囲とする。
  1. (注1) 管路布設などで単心ケーブルを1孔に3条引き入れする場合は、ケーブル線心数を2心として計算して下さい。
  2. (注2) ワイヤーネットを用いて延線する場合は、ケーブルにワイヤーネットを500mm以上かぶせ、ワイヤーネットの先端はバインドし、シースに均一にかかるようにして下さい。
許容張力図版

2.許容側圧

許容側圧は、次表に示すとおりです。

ケーブルの種類 許容側圧(N/m{kgf/m})
単心または一括シース 2,940{300}(4,900{500})
トリプレックス 2,450{250}(4,900{500})
  1. (注1) ( )内は、新設などの内面が滑らかで、かつ、段差がない管路に適用します。
  2. (注2) 3条一括入れの場合、管路径がジャムレシオに入ると側圧が大きくなり、ケーブルが相互に圧縮されるので、管路の選定の時ジャムレシオをはずす必要があります。
  3. (注3) ジャムレシオとは、管路径とケーブル外径との比をいい、一般にジャムレシオが2.85~3.15(ケーブル仕上公差、管路の公差を考慮)の範囲の管路径の選定はしないことにしています。

3.許容曲げ半径

ゴムプラスチックケーブルは、容易に曲がりますが、極度に曲げると性能が低下することがあります。布設の際に次表に示す曲げ半径以下に曲げないよう注意して下さい。

ケーブルの種類 許容曲げ半径(mm)
単心 多心
非分割導体 分割導体
遮蔽なし 8D 12D 6D
遮蔽あり 10D 12D 8D
トリプレックス - - 8D
波付鋼管がい装 - - 8D
  1. (注1) Dは、ケーブル外径(mm)ただし、トリプレックスの場合は、外接円の直径(mm)
  2. (注2) 曲げ半径は、50mm単位で切上げます。

4.ビニルの取り扱い方

塩化ビニル樹脂は、低温でもろく割れやすくなります。
一般に電線・ケーブルに過激な衝撃を与えたり、床の上にたたきつけるようなことはさしひかえなければなりませんが、特に寒冷地でビニル電線を取り扱うときは注意して下さい。

5.延線ルートの障害物は取り除いて

延線に際しては、小石、突起、コンクリート枠板その他の障害物は完全に取り除いて下さい。また工事現場、異物落下衝撃、足場板、荷造木枠の釘による外傷などが発生しやすいため十分注意して下さい。

6.アースは確実に

遮蔽層のあるケーブルを布設する際は、必ず遮蔽層を確実に接地しておいて下さい。接地いたしませんとケーブル自体の特性を十分生かせないばかりでなく、安全性にも問題が出てきます。

7.絶縁体(端末部)上に保護テープを

絶縁体は、直射日光などにさらされると数ヵ月程度でき裂(紫外線劣化)を生ずるものがありますので、低圧ケーブル絶縁体にも必ず所定の保護テープを巻くようにして下さい。

8.導体には水が入らないように

ケーブルの導体内に水分が浸入すると、ケーブルの寿命を著しく損ないます。特に地下管路、ダクトなど水のあるところへ引き込むときには、端末部のシールを完全に行って下さい。またケーブルを切断し、そのまま放置する場合は、直ちに自己融着テープなどで切口を完全に防水処理して下さい。

9.屋外端末処理では、必ず防水処理を

屋外端末処理では、ケーブル端末に必ず半田付け方式または圧縮方式の端子を使用し、その上を自己融着テープで完全に防水処理をして下さい。心線挿入式の機器に接続する場合、架空線に接続する場合も、ケーブル側は必ず端子を使って防水処理をし、別の絶縁電線または裸線を端子接続して使用するようにします。端子部の処理が悪いと雨水が導体内に侵入して、電線の寿命を著しく短くします。